たとえ、この恋が罪だとしても
「そう。終わったばかりで悪いけど、ちょっと話があるの。事務室に来てくれる?」

 そう言って、先に立って歩いていく。
 そうするとどうしても魅惑的に左右に揺れるヒップに目が行ってしまうは男の性(さが)だよな。
 おれ、会社勤めじゃなくて良かった。
 セクハラで、3日で首になりそうだ。


******


「さっき、オファーがあったの」

 打ち合わせ用のテーブルにつくと紗加は早速、話を切り出した。いつも冷静な彼女には珍しく、頬が少し上気して、あきらかに興奮している。

「オファーなら珍しくないだろ。別に」
「でも……〝MOGA〟誌からのオファーなんだけど」
「えっ、MOGAって、あのMOGA? フランスの雑誌の?」
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