たとえ、この恋が罪だとしても
「あら、あなたもやっぱり気があるの? あの、ただ純粋培養されただけの鈍臭い子に?でもおやめなさい。才能のかけらもない女のために人生を棒に振るなんて、まったく理にかなっていないわよ」

「……」

「瀧人。あなたは世界を狙える男なのよ。わたしと一緒にいれば確実に頂点に立てる。そうしたら、あなただけのものになってあげる。今のままじゃ、とてもじゃないけどわたしと釣りあわないもの」

「でももし、彼女がモデルを降りると言ってきたらどうするんだよ。いまさら他を探すなんて無理だ」

「その点は大丈夫よ。今回の仕事はあなたの人生を左右するって、さんざん脅しておいたから。あの子、責任感だけはありそうだしね」
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