たとえ、この恋が罪だとしても
 だが、意識的に女として見ることはセーブしていた。

 だって、どうなるというのだ。
 文乃には婚約者がいるのに。

 彼女みたいな真面目な子は、おれみたいな女にだらしないふざけた男より、勤め人の婚約者と一緒になるほうが幸せになれるに決まっている。

 そう思って、最初から諦めていた。

 それでも、傷ついた文乃に何もしてやれない自分が歯がゆくて、やりきれなかった。
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