さあ、離婚しましょう 始めましょう
「弥生、どうかした?」
「寄りたくなかった?」
つい零れ落ちてしまった言葉に、私はハッとして口元を覆う。
そんな私を見て、尋人は立ち上がるキッチンにいる私の方へと歩いてくる。
「本気で言ってるのか?」
真剣な瞳で見据えられて、私はフルフルと頭を振った。
「違うの、違うの」
尋人がいろいろと伝えてくれて嬉しかったし、信じたかった。でも、本当に佐和子じゃなく私が好きだったと思えてないのは事実だ」
「何が?」
「だって、私より佐和子の方が魅力あるし、かわいいし、仕事できるし……」
友人にやきもちを焼くような発言はしたくはないのに、どんどん言葉が溢れてしまう。
「どうして佐和子がでてくるんだ?」
本当に意味が解らないと言った尋人。
でも……。
「尋人が佐和子より私の方が好きだなんて、ありえない」
「それは弥生だろ? 俺より宗次郎の方が優しいし、気を許してただろ」
尋人も珍しく苛立ちを露わにして、髪をクシャっとする。その表情は悲しそうにも見えた。しかし、私も言葉が止まらない。