さあ、離婚しましょう 始めましょう
数枚の下着を並べてその中から一つ、一番可愛らしく見えるものを選んだ。
付き合っている人の家に行くと行くことは、今度こそそういうことになるはずだ。下着をつけた自分を鏡に写してみるも、こんなことをしている自分が恥ずかしくなる。
「大丈夫かな……」
不安な気持ちを吐き出すと、私はさらりとしたワンピースに袖を通した。
別に嫌なわけではない。ただただ恥ずかしいし、どうしていいのかわからないだけだ。
こんなことならばもっと恋愛経験を積んでおくべきだった。
そんなことを思いつつも、私は住み慣れたマンションへと向かった。
途中、スーパーで買い物をすませ、尋人の好きなおかずの材料を買い込んだ。少し買いすぎた荷物を持ってマンションのエントランスに入れば、コンシェルジュの女性が少しだけ驚いたように見えた。
しかし、さすがプロというのかニコリとおかえりなさいと言ってくれた。
前まではこの扉を開けることなど緊張したことなかったのに、今日はドキドキしてしまう。