さあ、離婚しましょう 始めましょう
「ビールでいいよね?」
「……あ。うん」
少し悩んだ尋人に私は問いかける。
「ハイボールの方がいい?」
メニュー的にはビールでもハイボールでもおいしいかなと、私は料理に目を走らせた。
「いや、ビールでいい。弥生も座って。食べよう」
少し苦笑したように見えたが、すぐに表情を戻すと尋人は私を呼び寄せる。
なんだったんだろう?そう思うも、彼の表情が穏やかなのを見て私も向かい合って座った。
そして、尋人が食べるのを箸を持ったままじっと見つめていた。
やはり料理の反応は気になってしまう。
「うん、うまい」
その言葉を聞いてホッと安堵する。
「そんなに心配そうな顔をしなくても、弥生が作ったものならなんでもうまいよ」
「それって、不味くてもってこと?」
揚げ足をとって少し拗ねて見せれば、尋人は「バーカ、違うだろ」とほほ笑んだ。
そんな尋人とアルコールで私は緊張よりも、一緒にいられる喜びに心が占拠されていった。