さあ、離婚しましょう 始めましょう
食事も終わり、楽しい気分で食器を片付けていると、尋人は横にやってくる。
「俺も手伝うよ」
「大丈夫なだよ。疲れてるんだからゆっくりしてて」
冷蔵庫からもう一本ビールを取り出すと、それを尋人に渡した。
「疲れてるのは弥生もだろ?」
そんなことを言う尋人を、私は下から見上げた。やっぱり身長高いな。そんなことをぼんやりと思いながら口を開く。
「知らないと思ってるの? 大きな案件やってたの知ってるんだから。それに今日、お昼食べた?」
休憩もまともに取っていないような気がして問いかければ、尋人はバツの悪そうな顔をする。
「バレてた? 今日は絶対早く帰りたかったからな……」
まさかそれが理由だと思っておらず、私はキョトンとしていたのだろう。
「全く考えてなかったって顔だな。俺はそれぐらい今日を楽しみにしてたし、弥生に会いたかった」
電話やメッセージではなく、目の前で直接言われたその言葉の破壊力はすごい。