さあ、離婚しましょう 始めましょう
「俺は俺なりにきちんと話したから。もういいんだ」
そんなことを言う彼に、私は何も言えなくなってしまう。
「わかったから、その手を放せよ」
宗次郎君が私の腕を取ったままだったことに、尋人が不機嫌そうに言葉を発する。
「尋人がそのセリフを言う権利はもうないんじゃない?」
宗次郎君がこんな挑発てきな言葉を使うなんて、信じられなくて私は目を見開く。
「お前……」
尋人が怒りをにじませたのを見て、宗次郎君が肩をすくめた。
「悪い、どうかしてた。俺も先に行く」
結局二人でその場に取り残されるような形になり、私たちは顔を見合わせると息を吐いた。