さあ、離婚しましょう 始めましょう
その横で、望月さんも誰かと話をしている声が聞こえた。
「堂前尋人、わからないことがあったらすぐに聞いて」
低く響くテーノルに私はちらりと隣を見た。身長が高く、椅子に足を組んでいるその人は、とても威圧感があり、私の担当が金沢さんでよかった。そう思った時だった。
「今、俺じゃなくてよかったって思っただろ」
少しイジワルそうに聞こえた声に、私はギクッとしてしまう。その言葉は明らかに私に言われていたことが分かった。
「尋人、やめろ」
仲が良いようで、金沢さんがその人を戒める。
「ごめんね、言い方はきついけど悪い奴じゃないから。俺と同期なんだ」
金沢さんが苦笑しながら説明してくれるのを、私は黙って聞いていた。
「そうなんですね」
納得したのは望月さんで、その後彼女は私に視線を向けた。