さあ、離婚しましょう  始めましょう

ずっとただ好きという気持ちを宗次郎に向けていた私。
一度不安になってしまえば、それは止められなかった。

もっとかわいい人が本当は好きなんじゃないか、私がむりやり迫ったから結婚も了承したのではないか。そんなネガティブな考えはもう止められなかった。
そしてその日は、仕事終わりに食事をし、式の話をする約束になっていた。
店に着いて宗次郎を捜せば、穏やかな笑みで手を振ってくれる。その大好きな表情を見て泣きそうなぐらい安堵すると同時に、昼間見た光景が頭に浮かぶ。

会いたいのに、一緒にいたいのに、甘えたいのに。
私の口から出た言葉はまったく違うものだった。

『結婚式延期したいの』
どこまで私は素直になれないのだろう。こんなこと少しも思っていないし大好きだ。
でも、でも……・。
試すようなことを言ったらダメだってわかっているのに、一度口にしてしばえばもう取り消すことはできない。
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