さあ、離婚しましょう  始めましょう
「でも、結局、うまく行ってるのよね?」
「ああ、うん。まあ」
うまくは言っていると思う。尋人は優しいし、一緒にいて楽しい。幸せだ。
で、も……
あの寝落ちをしてしまって以来、一度もそういう雰囲気にならない。

「なに、何か歯切れが悪いわね?」
そんな私に気づいたようで、弥生がジッと見据える。
「ねえ、佐和子。仲直りしたんでしょ?」
いきなり自分に話をふられ、佐和子はすこし恥ずかしそうにした後「うん」と頷いた。

「もう……した?」
「は?」
いきなり何を言われたのかわからないのか、佐和子が目を丸くする。そしてその後驚愕した表情に変わる。
「うそ。まさか……」
私の言いたいことが分かったようで、佐和子が口をパクパクさせる。

「尋人、嘘でしょ! 一年一緒に住んでて何もなかったとかありえない……」

「ちょっと! 佐和子!」
いくら周りが賑やかとは言え、佐和子の声を慌てて私は制する。

「ごめん」
興奮冷めやらぬと言った佐和子に、私はもう自棄で話を続ける。
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