さあ、離婚しましょう  始めましょう
「一緒に住んでいた一年間なーんにもないうえに、付き合ってからもまだしてない」
今度は言葉を失った佐和子。
「そういう雰囲気にはなったんだけど、私はお酒と緊張で寝ちゃったの。それ以来なにも……」
相変わらず尋人は優しいし、キスはしてくれる。お泊りだってしている。
「尋人、めっちゃヘタレや」
なぜか関西弁みたいになった佐和子に苦笑しつつ、私は問いかける。
「どうしたら、誘える?」
ここは経験者に聞くしかないと、私が佐和子に真剣な瞳を向ければ、佐和子は「うーん」とうなり声をあげた。

「もう、そういう雰囲気を強制的に作るしかないわね」
そういうと佐和子はニヤリと笑った。

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