さあ、離婚しましょう 始めましょう
「弥生、俺のこと放置しないで?」
尋人の声に私はハッと我に返り、動きを止めた。
「ごめん」
「なんで謝る?」
そのセリフに私は羞恥で耳が熱くなる。いい年して何はしゃいでいるんだと思われても仕方がない。取り留めなく謝罪の言葉を述べていると、いきなりグイっと手を引かれた。
「宗次郎たち、また後でな」
そう言いながら、尋人は走り出した。
「ちょっと! 尋人」
「そんな楽しそうな弥生を宗次郎に見せてやることない。俺と二人じゃいやなのか?」
少し拗ねた様に言った尋人に私はポカンとしてしまう。
「そんなことない、私も二人がいい」
せっかく佐和子がお膳立てしてくれたのだ。今日こそ尋人と絶対に……。
素直になることを目標に私はそういうと、ギュッと尋人の手を握り返した。