さあ、離婚しましょう  始めましょう
「どうした弥生? この部屋気に入らない?」

急におとなしくなった私に、尋人が心配そうに声をかける。
ふるふると否定をしたくて首を振れば、彼は私の瞳を覗き込んだ。

「じゃあどうした?」
何も気にしてなさそうな尋人に、もうこのまま何もなくてもいいかもしれない。そんな気持ちが芽生え始める。

「なんでもない。めちゃめちゃかわいい。この部屋」
わざとテンションを上げてテラスに出たり、部屋を探索している私を尋人がジッと見ている。

「緊張してる?」
抑揚なく聞こえた声に、テラスからパークを見ていた私は振り返った。

「え?」
そういうと尋人もテラスに来ると、私を見下ろす。
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