さあ、離婚しましょう 始めましょう
「ありがとうね」
お礼を伝えた私を尋人は少しだけ怪訝そうに見る。
「なんだよ、変な弥生」
最後ぐらいしんみりするよ。そんなことを思っていると、インターフォンが鳴ったのが分かった。
「引っ越し業者か?」
なぜか見つめあっていた私たちだったが、その音に私はハッとする。その相手が誰だかわかったからだ。
「違うと思う」
「え?」
意味が解らないと言った尋人に私は笑顔を浮かべた。
「佐和子に昨日の夜連絡したの。そしたら手伝いに来るって」
それだけを言って私は玄関に向かうために、尋人の横を通り過ぎようとした。