さあ、離婚しましょう  始めましょう

会社では海外事業部の若きエースとして活躍し、そして実家は大手のIT企業という生粋の御曹司。
それでも家では家事も手伝ってくれる良き夫だ。

身長百八十二㎝の高い身長に、細身だが均整の取れた身体。まっすぐな瞳が私を見つめている。
なんだかんだ優しい彼は、かわいそうに見えた私を見捨てることができなかったのだろう。

「とりあえずお互いメンツは保てただろう?」

「それは私だけでしょう」

少し笑って言って見せれば、尋人はクスリと肩をすくめた。自分の本音をみせないときにするこの癖はもうわかってしまった。
そんなことを知らなければよかったそう思うが、今更仕方がない。
< 2 / 173 >

この作品をシェア

pagetop