さあ、離婚しましょう 始めましょう
「どうして? うまく行ってたんじゃないの?」
キッチンから出て佐和子の元へ行き、私は彼女を見た。私たちの話だったのに、まさか二人までそんな話になっているなど思っていなかった。
「そうなんだけど」
ついこの間まで、佐和子は幸せそうに結婚雑誌などを私に見せていたし、宗次郎君と一緒にいても幸せそうだった。
どうしてこのタイミングで? そんなことを思わずにはいられなかった。
その後、引っ越しを手伝うという尋人をやんわりと断ると、私は新しい家で佐和子と荷解きをしていた。
「洋服、クローゼットにかけていってもいい?」
普通のワンルームのマンション。尋人と一緒に住んでいたマンションの何分の一だろう。すべてが一か所で完結してしまいそうな部屋のクローゼットの前で佐和子が問いかける。
「うん、お願い」
私も下着などをチェストの中にしまいながら答えた。