さあ、離婚しましょう  始めましょう

『それに、自分たちでバーベキューとか楽しそうじゃないか? 寝室も二つあるし問題ないだろ?』
会社帰りに飲みに行ったりすることはあったが、泊りでの旅行は初めてだった。
返事を迷っていた私だったが、すぐ横で佐和子が間髪入れずに声を上げる。
『行きたい! 宗次郎も行くんだよね?』
佐和子がウキウキとしながら尋人に尋ねれば、「もちろん」と頷いた。
『宗次郎と俺で運転していくし、二時間半ぐらいだから問題ない?』
尋人は今度は何も発していなかった私を見て問いかける。
『ああ、うん』
少し曖昧な返事になってしまった私に、尋人がジッと私を見つめる。

『弥生、あんまり乗り気じゃない?』

『え、そんなことない』
特に表情に出したつもりはなかったが、気づかれたことに内心驚きつつ私は慌てて首を振った。
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