さあ、離婚しましょう  始めましょう

「悪い、お前の旦那になんてこと」

ハッとしたように言った彼に、私は苦笑する。
「元……ね」
「それだよ、どうして離婚する必要あったんだ?」
真顔で聞かれどう答えようか思案していると、遠くから低い声が聞こえた。


「お前には関係ない」

その声にはじかれるようにその方向を見れば、尋人が鋭い視線を向け壁にもたれ掛かっていた。

「尋人……」
つい漏れた私の言葉に、尋人は一歩ずつ歩いてくる。

「宗次郎、お前に俺たちの離婚理由が関係あるのか?」

「いや、ないよ。でも俺の大切な部下が浮かない顔をしているのは気になるだろ?」
さらりと言ってのけた宗次郎君に、尋人も不敵な笑みを浮かべた。
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