さあ、離婚しましょう 始めましょう
会社では絶対に見られない、屈託のない笑顔をみられるだけでこの結婚をしてよかった。そんなことを思ってしまう私は終わってるかもしれない。
そう思いながらも、自分のものを持って尋人の横に座れば、パチンと手を合わせる。
『いただきます』
二人で手を合わせれば、パクリと尋人がオムライスを口に運ぶ。
『うまっ』
子どものように喜ぶ尋人に安堵して、私もそれを口に運んだ。
そんな過去のことを思い出していると、尋人は何も言わず歩いていく。
しかし、長く一緒にいたが、こうして手を引かれ恋人のように手を絡まされて歩くのは初めてだし、こんな緊張感があったことはなかった。
ドキドキするのを悟られないように、少し後ろを歩きながら彼の背中を見つめた。