さあ、離婚しましょう  始めましょう
「え? ここ?」

4人で何度も行った居酒屋でも行く、そう思っていた私だったが連れてこられた隠れ家のような高級な店構えにかなり驚いてしまう。
「俺も本気で行くから」
さらりと言った尋人に私は訳がわからない。
「ねえ、尋人。どうしたの? 急に変だよ?」
私なんかをどうしてこんな素敵な場所につれてきたのかわからない。そんな気持ちのまま伝えれば尋人は私をジッと見下ろす。

「変にもなるよ。お前、また宗次郎に傾くの?」
「え?」
宗次郎君? 何を言っているのだろう。そう思っていた時、目の前の扉が開けられ、落ち着いたブラックの制服に身を包んだ男性が私たちに微笑む。

「いらっしゃいませ」
その声に尋人は小さく息を吐くと、私に語り掛けるように言う。
「とりあえず食事にしよう」
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