さあ、離婚しましょう  始めましょう

「ああ」
真剣な瞳を向けた尋人に星ちゃんはため息をつくと、私を見た。
「今回は見逃すけど、次姉を泣かせたら俺が許さないと思ってください」
星ちゃんはそれだけを言うと、部屋に置いてあったスーツケースをゴロゴロと引いて廊下を歩きだした。

「星ちゃん!」
「また海外だよ。今度はもっと幸せそうな顔してろよ」
ふわりと昔からの可愛らしい弟の顔を見せる星ちゃんに、私は大きく頷いた。

「また、今度は酒で飲もう」
尋人も星ちゃんが弟だと悟ったようで、後ろ姿に声をかける。

「それはその時のあなた次第ですね」
最後は笑顔で帰っていった星ちゃんを、私たちは見送った。

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