さあ、離婚しましょう 始めましょう
「尋人も緊張したりするわけ…ないよね……」
つい思ったことを言ってしまえば、彼は少し険しい表情をして、私の額を軽くデコピンをした。
「弥生、お前バカだろ」
「なに?」
いきなりディスられる覚えなどなく、少しムッとして言い返せば尋人は苦笑する。
「緊張してるに決まってるだろ。告白して、嫉妬して、みっともないところばかり見せて、それでも部屋にこうして呼んでもらえた」
そこで尋人は一度言葉を止めた。一気に顔が熱くなるも、真っ直ぐに向けられた瞳から目を逸らせない。
「少しは期待したくなる」
「尋人……」
お互い無言で見つめあっていると、尋人は私の小指だけに触れた。
「少しずつでいい。付き合うところから始めてくれないか?」
その言葉に私は抗うことなどできず、ゆっくりと頷いた。
「マジ? 本当に?」
何度も確認する尋人に、私はコクコクと頭を振ることしかできなかった。
付き合おうとなったら、さあ、キスですか? 抱き合っちゃいますか?
そんなことを思っていた私だったが、その期待?を裏切り尋人は立ち上がった。