さあ、離婚しましょう  始めましょう
Side 尋人

※※※

なんとか冷静を装えたか?
俺は弥生の家の玄関を閉じると、大きく息を吐いた。
一緒に住んでいたときも、もちろんずっと弥生に対して触れたいと思ったことはあったが、まったく弥生が俺のことを男として見ていなかったからか、そんな空気になることはなかった。
いつも、屈託なく笑い友達の域を超えることがなかったから、俺も普通でいられた。

でも……。

なんだよ、アレ。反則だろ。
真っ赤に頬を染め、照れたように視線を彷徨わせる弥生に、俺は暴走するのを止めるのがやっとだった。

ただでさせ、酒の勢いから結婚をして一緒に住んで、離婚したと思ったら、好きだとか言われて。
弥生の中はパニックだろう。
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