【完結】和菓子職人との恋は、甘いようで甘くない?


 私もう、悠月さんに嫌われたらここで働けなくなってしまいそうだ。
 悠月さんの和菓子を作る姿が、もう見れなくなってしまう。 そんなのはイヤだ!

「……あの、悠月さん?」

 なぜだか分からないけど、悠月さんは私を離してくれようとしない。

「なあ、菜々海」

「はい?どうかされました?」

 っていいから、早くこの腕の中から逃れたい! じゃないと私……胸がドキドキして死にそうになっちゃうよ!
 この胸の音を聞かれたら、私のこの隠してきた気持ちがバレてしまう。 そんなことになったら、私……。
 ダメダメ!そんなこと絶対にダメ! そう思っていたのにーーー。

「お前、俺が好きだよな?」

「えっ!?」

 う、ウソ……! なんでバレたの!?
 私、まだ何も言ってないのに!なんでバレたの!?

「ち、違い……ます」

 本当は私、悠月さんのこと好き。こんなにも、大好きなのに……。

「それは本当か?」

「ほ、本当……です」

 こうでもしないと、私は悠月さんに嫌われてしまう。 そんなのは絶対にイヤなの。
 絶対に、イヤなの……。悠月さんの和菓子が食べられなくなってしまうかもしれない。
 そんなのは、絶対にイヤだよ。
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