ご近所の平和を守るため、夫のアレが欲しいんです!
 どちらが発したのか分からない声。慶一さんのものが私の中で断続的に跳ね上がる。そしてしばらくすると、そっと体を離された。快楽の高みから降りられない私は支えを失って、さらにずるずるとソファーから滑り落ちる。

 あ、お尻、ついちゃう。

 ラグマットが汚れる的なことを考えた瞬間、腰を持ち上げ、ひっくり返された。

「え?」

 混乱したまま、腰を突き出しソファーにうつ伏せた状態を取らされると、背中に唇の感触がした。背筋を辿りときどき横にそれ、じゅっと吸われる。また、跡がついた。

「紗江……」

 背後から聞こえる声に、反応してしまう。私を呼ぶ彼の声だけでまた気持ち良くなってしまう。彼の唇は私の背中を丁寧に辿り、お尻も揉まれ、吸われ、嚙りつかれた。

 太腿に、私から湧き出る蜜と彼の精が混ざり合ったものが、伝い落ちる。慶一さんはそんな私の背面を十分に堪能すると、ゆっくりと後ろから入って来た。同時に胸を揉まれ、油断していた刺激によってさらに快楽に没頭する。

 こうして前からと後ろから、それぞれ最後まで登り詰めた後、一緒にお風呂に入り直し、そこでもまたイカされた。パジャマを着させてもらい、ベッドに入る頃には、私の意識の半分はもう無かった。

「お休み、紗江」

 ちゅって、こめかみに慶一さんの唇の感触。抱きしめられたから、おでこをぐりぐりと彼の胸に押し付けて、ついでに匂いを嗅ぐ。慶一さんの匂い。いい匂い。

「お休み、なさい……」

 夫の匂いに安心して、私はそのまま眠りの世界へ落ちていった──



 ◇◇◇◇



 寝室の中、ベッドに横たわる夫婦がいる。黒い犬はその二人を部屋の隅からじっと見つめていた。

 寝具に包まれているが、夫が妻を抱きしめて、彼女の呼吸音を聞いているのが分かる。彼女の寝息はゆったりと規則正しく、深い眠りについたことがうかがえた。

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