イケメン保健室・病弱少女の恋愛相談
出会ったのは生まれて初めて、私の、過去現在未来を変えた人。
***
「保健室って、ここだよね……」
高校一年生一週間目にして、寝不足だったのか朝から続く貧血で耐えられそうもなく早速保健室に来てしまった。中学までは保健室の常連、いい加減その辺のことも卒業したいなって思ってたのに。静かな保健室、先生はいるのかな。ドアをノックしても良いのだろうか。
「何してるんだ」
「えっ、あ、あの」
白衣姿の男の人が、気がつけば後ろに立っていた。背が高くって、整った顔だが笑顔がないのが少し怖い。
「ほ、保健室に入りたいんですけど」
「体調不良か? 良いよ、鍵は空いている」
「え?」
彼はさっさと室内に入り、慣れた手つきで空いたベッドを整える。まさか、この人……。
「俺が怖いか? ただの保健室の先生だよ、新入生」
「ええっ、男の人なのに……?」
「それ、言われ慣れてる。何でも相談して構わないが、そう言う仕事だし。で、お前はどうしたの?」
「……な、何でもありません、教室に帰ります」
言えるわけない、いくら保健室の先生だってあの男の人は少し怖い。そのまま教室に戻ろうと廊下を歩けば、急に目の前がちらついて身体が重く足が動かなくなった。倒れる前に慌てて私は床に座りこむ。
このまま歩いてたら危ない、かも。
遠ざかってゆく意識のなか、壁に寄りかかりあきらめると力強い腕が私を抱き上げた。お姫様抱っこなんてはじめてだった。突然のことに慌ててその人の首筋にしがみつけば、彼は呆れたようにため息をつく。
「お前さ、倒れるほどに体調悪いのなら逃げるなよな。危なっかしいから休んでいけ。新入生、大森結風(おおもりゆうか)」
「どうして私の名前を知っているの?」
「さあ、可愛かったからじゃない?」
「か……!」
「ふふ」
「か、からかわないでくださいっ」
無愛想だと思っていたその表情は少し和らいだ、彼の名前は善養寺海(ぜんようじかい)、この高校の養護教諭だった。
***
「保健室って、ここだよね……」
高校一年生一週間目にして、寝不足だったのか朝から続く貧血で耐えられそうもなく早速保健室に来てしまった。中学までは保健室の常連、いい加減その辺のことも卒業したいなって思ってたのに。静かな保健室、先生はいるのかな。ドアをノックしても良いのだろうか。
「何してるんだ」
「えっ、あ、あの」
白衣姿の男の人が、気がつけば後ろに立っていた。背が高くって、整った顔だが笑顔がないのが少し怖い。
「ほ、保健室に入りたいんですけど」
「体調不良か? 良いよ、鍵は空いている」
「え?」
彼はさっさと室内に入り、慣れた手つきで空いたベッドを整える。まさか、この人……。
「俺が怖いか? ただの保健室の先生だよ、新入生」
「ええっ、男の人なのに……?」
「それ、言われ慣れてる。何でも相談して構わないが、そう言う仕事だし。で、お前はどうしたの?」
「……な、何でもありません、教室に帰ります」
言えるわけない、いくら保健室の先生だってあの男の人は少し怖い。そのまま教室に戻ろうと廊下を歩けば、急に目の前がちらついて身体が重く足が動かなくなった。倒れる前に慌てて私は床に座りこむ。
このまま歩いてたら危ない、かも。
遠ざかってゆく意識のなか、壁に寄りかかりあきらめると力強い腕が私を抱き上げた。お姫様抱っこなんてはじめてだった。突然のことに慌ててその人の首筋にしがみつけば、彼は呆れたようにため息をつく。
「お前さ、倒れるほどに体調悪いのなら逃げるなよな。危なっかしいから休んでいけ。新入生、大森結風(おおもりゆうか)」
「どうして私の名前を知っているの?」
「さあ、可愛かったからじゃない?」
「か……!」
「ふふ」
「か、からかわないでくださいっ」
無愛想だと思っていたその表情は少し和らいだ、彼の名前は善養寺海(ぜんようじかい)、この高校の養護教諭だった。
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