イケメン保健室・病弱少女の恋愛相談
 中学二年生で初恋をして、そっと憧れの彼の好みを聞いたら痩せた子が好きだと言う。当時の私は155cm59kg、ぽっちゃりの自覚はあった。そんな日が続いた帰り際、数人の友人と話が盛り上がっている彼は、とどめを刺すように笑いながら言っていた。

「デブの彼女とかありえないって! 抱き上げた時にこっちの腕が折れそうだし」

 ただ私は彼に振り向いて欲しかった。彼の腕は筋肉質だが骨格が透けている、折れることもあるかもね。だから私はその日からダイエットを始めることにする。

「結風、朝食べなくて良いの?」
「夜遅くまで勉強したいから朝はギリギリまで眠ってたいの、お母さんだって朝ご飯の準備大変でしょ? 給食はたくさん食べるし、大丈夫だから」

 まず食事を減らすことを考えた。朝は食べない、昼の給食は半分残す、夕飯は、共働きの両親が仕事で遅くなったら食べない。運動は苦手だからこうするしか思い浮かばなかった。最初こそお腹が空いて大変だったけれど、慣れたらむしろ朝から何かを食べることの方が違和感があった。給食は美味しかったし残すと先生に怒られもした、でも二週間で体重が3kg減ったことに、私は胸がおどる。夕食を食べない夜は空腹感に眠れない事もあったけれど、順調に体重が減っていると思えばそれも嫌な気分ではない。痩せたのかどうかはいまいち自覚はなかったけれど、減ってゆく体重計の数字だけは私の味方だった。50kgを切ったのはこの生活を続けて二ヶ月がたった頃の頃だ。その頃には嫌いな運動さえ楽しくって、学校で体育のあった日の夜は体重計に乗るのが楽しみだった。

「結風、痩せたんじゃない? 目がぱっちりとして可愛くなったよ!」
「えっ、本当……?」
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