イケメン保健室・病弱少女の恋愛相談
 友人が一人そんなことを言えば、次々にみんなの注目が私に向かう。スカートが緩くなり、ウエスト周りには余裕があった。
 それをきっかけに家にあった太って着られなくなった服がすんなりと入るようになったことを確認する。制服が日々緩くなっているようで毎日が楽しくて仕方が無い。くびれの見える身体、胸は少し減ってしまったけれどペタンコの方がスタイルがよく見える。友人はみんな私の体型を褒めてくれて、うらやましいと羨望のまなざし。
 その高揚感は私を放さずに過激な方向へと進んで行く。食事を出来る限り抜いていて、朝も食べない、昼は飲みものだけ、夕飯も……どうしたって、食べたくない。もっと痩せた方が可愛いに決まっている。スカートはあえて短くして、それを見る周りの視線に幸福感を感じて。ただ、そんな日々も少しずつ変わり初めていたのにも気づかずに。
 痩せることだけを考えて日々を過ごしていたら次第に少し走っただけで息が切れて、お風呂で初めて眩暈がしたのが怖かった。ふらついて思わずタイルの壁にしがみついたそのとき、鏡に写っている私は上半身には肋骨が浮いていたし、脚はすっかり筋肉が落ちて棒のようにげっそりしていた。でも、私にはそれでも太っているようにしか見えなくて、ダイエットは加速し終わらなかった。そうして中学二年の冬には体重はもう40kgを切っている状態。以前痩せたことを褒めてくれた友人も、体育の着替えで私の身体を見て息を飲んだ。

「ね、ねえ結風、もうちょっとご飯食べなよ……」
「食べてるよぉ? 今日だって朝食べすぎておなかいっぱいだし」
「そうなの? なら良いけどさ……なんか、やばいよ」
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