イケメン保健室・病弱少女の恋愛相談
 夕方、帰り道でコンビニに寄って、いつもは近づかないようにしているパンコーナーでありったけのパンをかごに入れて店を出た。そして誰もいない家に帰宅して、部屋に閉じこもって何も考えないようにパンをむさぼり飲み込んだ。誰かの特別になりたいって、泣く代わりに食べることでその感情を昇華しようとして、食べ終わったら吐けば良いと思っていたのだ。けれど……。

「ケホッ、コフ……、エッ……な、んで?」

 トイレのなか、上手く吐けないで途方に暮れている。どうしよう、お腹いっぱいに詰め込んだからこのままじゃ身体が重いままだ。過食嘔吐って言葉を聞いたことがある、食べた分だけ吐けば太らないって。でも、何度お腹を押しても出てくるものはなく、絶望はさらに深くなりやがて家中に響く声をあげて私はただ泣くことしか出来なかった。

 ***

 憂鬱な気分を抱きながら今朝も二駅前で電車を降りて学校に向かっている。徒歩三十分では足りない。昨日吐けなかった分を歩いて消費させなくちゃ。怖くて体重は測れなかったが、お腹が重いのはわかっている。気分も同じように重いまま学校に近づいた時、知らない女子生徒に声をかけられる。校章の色から、上級生だと言うことがわかった。

「大森さんだよねー?」
「え、あ……はい」
「ちょっと一緒に話さない?」
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