排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
「みんな大丈夫。すごいよ良く、くらいついてる。ボールも見えているみたいだね」
みんなが、目を輝かせながら莉愛に視線を向けた。
「そうなんだよ。ボールが見えるんだ」
「見える。怖いぐらい見える」
「スローモーション、とまではいかないけどな」
「何だろうな、この感じ」
「取れる。上げられるって、感じするよな」
「分かる。体も自然に動くよな」
生き生きと話すみんなの顔を見て、莉愛も笑顔になる。
「みんな、まだやれるよね。このセット取るよ」
「「「おーー!!」」」
ここでまた、4番高野のサーブの順番が回ってきた。
大丈夫、取れるよ。
ボールをよく見て、集中だよ。
莉愛は祈るようにみんなを見つめた。
高野のジャンプサーブが高い打点からくり出される。強いサーブだ。
お願い、上げて!
「バシンッ」
肌に当たるボールの音。
上がった!
祐樹がそれを早いトスでネット前に上げる。それに合わせて充がスパイクをするも、伊勢崎中央のブロックに阻まれボールが落ちていく。
落ちる……。
しかし、それを瑞樹がギリギリんの所で上げた。上がったボールはそのまま相手コートへ落ちていく。すかさず伊勢崎中央からバックアタックが打ち込まれた。体勢の整っていなかった犬崎のコートにボールが沈んだ。
1セット取られた……。