排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
*
2セット目が始まった。
このセットも、両者一歩も引かない攻防戦が続く。そんな戦いを間近で見守る応援団達の手に汗がにじんだ。
「おい、おい、すっげーな」
「何だよこの試合」
「犬崎なんて、今まで聞いたことも無かったのに……」
「これ、どっちが勝つんだ?」
体育館にボールの打ち付けられる音が響いた。
25-23で2セット目を取ったのは犬崎だった。
「1セット取り替えしたぞ!」
拓真が人差し指を、天井に向かって突き上げた。
犬崎の流れのまま始まる第3セット。疲労がたまり始めるこのセットに全てを掛ける。
14-12で犬崎がリードしているものの、点差が開かない。いつ伊勢崎中央に逆転されてもおかしくない状況下に、応援にも力が入る。
その時、隣のコートから大きな歓声が上がった。
何?