排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
「ポジションが合っていない人がいるようなので、変えても良いですか?」
「えっ……。いや、その……とりあえず話を聞かせてくれないか?」
莉愛は頷くと、先ほどのマネージャーノートをみんなに見せた。
「これは本日の試合内容です。これを見ていくと……近藤さんアウトサイドヒッターですよね?それなのにボール上げていることが多いですよね?」
冷たいくクールな見た目の近藤祐樹は、眼鏡をクイッと上げながら、ぶっきらぼうに答えた。
「ああ、そうかもな」
「近藤さん、セッターやって下さい」
「は?何でセッターなんだ?あんな地味なポジション興味ない」
「地味……ですか?ですが、近藤さんはセッターに必要な能力がありますよ。常に近藤さんは回りを気にしているし、相手選手の動き……見えていますよね?セッターはコート上での司令塔です。味方のレシーブした動きに対応し、状況を的確に判断し、適切な選手に的確なトスを上げる。確かにセッターはあまり目立つことはしませんが、ゲームメイクをするのはセッターですよ。近藤さん見ていて下さい。皆さんボール上げるので、スパイク打ってみて下さい」
莉愛はそう言うと、トスを上げた。すると次々にスパイクを決めていく。一年生コンビは興奮気味に、コート上を走り回った。
「やっべー。俺ら、今日の練習試合で強くなったんじゃね?」
「マジか……俺、すごくねぇ?」
単純な一年生の反応に、莉愛は口角を上げた。