排球の女王様~私に全てを捧げなさい!

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 春高バレー予選の実況中継が始まった。

「皆さんお待たせいたしました。これから始まるのは春高バレー予選決勝戦。ここまで勝ち残ったのは、春高バレー常連校、王者狼栄大学高等学校、対するはシード校を破りここまで勝ち残って来た新星、犬崎高等学校。狼×狂犬の戦いが繰り広げられようとしています。そして本日、実況中継を務めさせて頂くのは私、谷ともう一人、解説者として来て頂いたのは、群馬県が誇るプロバレーボール選手で、日本代表の姫川翔さんです」

「皆さん、こんにちは姫川翔です。よろしくお願いします」

「姫川さん、もうすぐ始まります。二校による決勝戦ですが、どちらが勝つと思いますか?」

「そうですね、どちらが勝ってもおかしくないと思います。……が、狼栄には大崎大地が、犬崎には……あれ?」

「ん?姫川さん、どうされましたか?」

「いないんですよ」

「いないですか?」

「はい。女王がいないんですよ」

「ああ、SNSで騒がれていた犬崎のマネージャーさんですね。そう言えば見当たりませんね」

 その時、犬崎の応援席が騒がしくなった。

「女王ーー!」

「莉愛様ーー!」

 髪を後ろになびかせ、颯爽と歩く莉愛の姿に、会場中の視線が集まる。これには谷も中継せずにはいられない。





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