排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
両校のスタンディングプレイヤーの名前がアナウンスされる。
「狼栄大学高等学校、1番キャプテン赤尾正隆、4番大崎大地、9番安齋学、11番大澤和彦、13番尾形仁、15番熊川貴志、コーチ金井貴広、監督神保歩。群馬県立犬崎高等学校、1番キャプテン津田拓真、4番近藤祐樹、6番立石充、8番小池流星、10番滝林洋介、12番竹之内瑞樹、コーチ、マネージャー姫川莉愛。これより決勝戦を始めたいと思います」
スタメンのメンバー紹介が終わり、各選手がベンチに集まった。スタメンの選手は真剣な顔でコーチの言葉に耳を傾ける。
狼栄のベンチでは気合いを入れるため、円陣が組まれ、吠えるような選手達の声が聞こえてきた。
「俺達はここがゴールじゃ無い。今年も優勝して、春高行くぞ」
「「「おおーー!!」」」
犬崎のベンチでも莉愛の前に選手達が集まり、莉愛の話を真剣に聞いていた。そして最後に拓真達は莉愛の前で跪いた。それは勝利へのルーティン。
「勝つのは私達よ。全てのボールを拾いなさい。そして私に勝利を捧げなさい」
「「「仰せの通りに」」」
莉愛はジャージを肩に掛け、腕を組み顎を上げ、妖艶に笑いながら皆を見送った。その姿は、まるで騎士を戦場に送り出す、女王の様だった。