排球の女王様~私に全てを捧げなさい!

 そして……。


「ピッピーー」

 25ー13、第一セットを狼栄に取られ、皆がベンチに帰ってくる。

「みんな……」

 莉愛がみんなに声を掛けようとした時、拓真達の声がそれを遮る。

「瑞樹、見えてるよな?」

 拓真の言葉に反応し、瑞樹が口角を上げた。

「ああ、次は取れる」

 その頼もしい瑞樹の言葉に、皆の口角も上がる。

「だよな。次は大崎のサーブだったよな?」

「絶対に上げる」



 ああ、大丈夫だ。

 これからが、うちの見せ場。

 反撃開始だ。



「次は大地のサーブからだよ。見えてるならチャンスはある。大丈夫、反撃開始よ」

「「「シャーー!!」」」


 中継の谷が、溜め息を付いていた。

「はー。随分一方的な展開になってしまいましたね」

「そうですね。ですが、ここからでしょう。王者狼栄はこの舞台になれていますが、犬崎は初めてですからね。動きが硬いのは仕方が無いと思うんです」

「なるほど。犬崎の反撃ありですね」



「「「わーーーー!!!!」」」 


 観客席から歓声が上がる。




< 115 / 129 >

この作品をシェア

pagetop