排球の女王様~私に全てを捧げなさい!

 ネット際に上がったボールを祐樹がトスで上げ、後ろから走ってきた洋介がバックアタックで決めた。

 その瞬間、体育館が大きな歓声で包まれた。

「おー!すげえ!大崎のジャンプサーブ取った」

「マジか!すげえな」

「犬崎のリベロやるなー」

 中継の谷も興奮を抑えられずに、声を荒げている。

「犬崎高等学校リベロの竹之内瑞樹、強烈な大崎大地のジャンプサーブを綺麗に上げたー。素晴らしい、そして1点取ったーー!!」

 それからの犬崎はすごかった。調子を上げた瑞樹が次々にレシーブでボールを上げ、得点が入る。狼栄も負けじと得点を重ねて行くも、2セット目を取ったのは犬崎だった。予想していなかった展開に、狼栄の応援団も唖然としている。

「ウソだろ。追いつかれた」

「犬崎なんてストレート勝ち出来ると思ってたのに」

 応援席からどよめきが上がる。

 ふふふっ……。

 私達が狼栄とここまで張り合えるなんて、思っても見なかったのでしょう。

  まだまだこれからよ。

「みんな、どう?まだいけるよね?次のセットは、向こうも今まで以上の力を出してくるよ。特に大地の攻撃には注意だよ。向こうは大地にボールを集めてくるはず。予想はしやすいわよ。瑞樹、取れるわね?」

「サーブだろうが、スパイクだろうが取ってやる」

「頼んだわよ。決勝は第5セット戦、先は長いわ。でも、ここで手を抜いたらやられる。王者狼栄に食らいついて行くわよ」

「「「おおーー!!」」」




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