排球の女王様~私に全てを捧げなさい!

 始まった第4セット。

 このセットを狼栄に取られれば、犬崎の負けだ。

 取り返さなければ……。

 このセットを取れば第5セットに持ち込める。

 第4セット開始、それは狼栄熊川のフローターサーブから始まった。フローターサーブはボールが回転しないため、急激に落ちたり、変化するサーブである。充は咄嗟にそれに反応し、レシーブで上げる。

 このセットを狼栄に取られるわけにはいかない。

 私達は勝って、春高に行くんだ。

 必死にボールを追いかける選手達。どちらも引かない攻防戦。開かない点差。そして、第4セット後半、20-21で犬崎が狼栄に逆転する。


 あと4点……お願い、逃げ切って。

 
 祈るように莉愛が呟く。

 ボールが床に落ちるたびに、大きな声援が飛ぶ。




 あと……1点。


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