排球の女王様~私に全てを捧げなさい!


 どうか、勝利の女神がいるのなら、私の願いを聞き届けてほしい。

 どうか、どうか……私達に勝利を……。


「ピッ」

 審判のホイッスルで試合が再開する。

 狼栄、尾形のサーブ、それを拓真がレシーブで上げ、それを祐樹がトスで高く上げる。流星が得意な打点の高いトスに合わせて流星のスパイクが炸裂した。しかし、それを狼栄のリベロ熊川がギリギリで上に上げる。小さく上がったボールに体勢を崩したように見えた、狼栄チームだったが、そのボールを赤尾が片手で弾き、見事に上げてみせた。




 これは……。

 犬崎のチャンスボール、そう思った。


 しかし、そのボールに飛びついたのは大地だった。 
 



「ズバンッ!!」



 一瞬だった……。



 シンとした静寂。


 トントントン……と、ボールが転がって行く音だけがそこにはあった。誰もが放心し動けず、息を呑む音が聞こえた。審判さえも、ホイッスルを吹くことを忘れ、ボールを目で追うことしか出来ないほどだった。それほどに一瞬の出来事だったのだ。長い静寂のように感じたが、それはほんの一瞬で、我に返った審判がホイッスルを鳴らす。




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