排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
「それから小池くんね。小池くんは部活はやってた?」
「俺は陸上で、高跳びをやってました」
なるほど、高跳び……それであの跳躍力なのね。バネがしっかりしていると思った。
「小池くんにはアウトサイドヒッターをお願いしたいんだけど」
「アウトサイドヒッター?」
流星もポジションについて、いまいちピンと来ていないようだ。
「アウトサイドヒッターはコートの左右からスパイクを打つ選手の事で、アウトサイドヒッターも攻撃専門ね。高飛びをしていた小池くんはバネがしっかりしているから高さのある攻撃に向いているわ」
「俺がそんな攻撃的なポジションで大丈夫ですか?攻撃は向いていないと思うんだけど……」
「心配しなくて、大丈夫よ。小池くんのバネは攻撃に向いているはずだから。あなたのバネは武器になる。でも、上半身の強化が必要ね。それから基礎練習もね。その他の人は、今のままのポジションで問題ないわ」
「えっ……俺はそのままで良いの?」
そう言ったのは、二年生のミドルブロッカー立石充だった。垂れ目の充は、悲しそうに莉愛を見つめた。皆と同じようにアドバイスが欲しい充は、更に悲しそうに垂れ目を下げた。彼は犬崎の中でも190㎝と身長が一番高く、ミドルブロッカーとしての役割を分かっている。現に今日の練習試合で得点を唯一入れたのは彼のブロックによるものだった。そのため、特にポジションを変える必要は無い。