排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
サーブ権を得た狼栄が、最初の攻撃を仕掛けてくる。1番セッターの赤尾のジャンプサーブが、犬崎チームのコートめがけて飛んでくる。狼栄側は赤尾のサーブが犬崎のコートに落ちると思っていたのだろうが、そのサーブをきっちりと上に上げたのは、12番リベロの竹之内瑞樹だった。
「瑞樹ナイス」
瑞樹の上げたボールに反応したのは、3番セッターの近藤祐樹だ。祐樹はボールの下に回り込み、8番アウトサイドヒッターの小池流星のいる場所へと、ドンピシャでトスを上げる。すると、高跳びで培ったジャンプ力とバネを使って流星が思いっきりスパイクを叩き付けると、床がバシンッと音を立てた。
「ピッ」
ホイッスルの音と共に得点が入る。
「マジかよ……」
誰もがそう思った。
点を入れた流星さえも、心の中で同じ事を思った。そして一泊置き、流星が雄叫びを上げる。
「よっしゃーー!!」
先制点を入れたのは、狼栄ではなく、犬崎の一年生流星だった。いつも気弱な流星の雄叫びに驚きつつ、莉愛も右手に力を入れた。
そして、莉愛は確信した。
王者相手でも、うちの犬崎のバレーボールは通用すると。