排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
頭を下げるこの人は?
*::*
狼栄との練習試合の次の日、犬崎高等学校の部員達は、昨日の疲れを取るため、部活を休みにしていた。疲労した筋肉を休めるのも大切なことだと、狼栄のコーチに言われたからだ。狼栄も毎週月曜日は部活が休みらしい。
授業が終わり、久しぶりに早く帰れると、莉愛が校門にさしかかると、何やら校門前に人だかりが出来ていた。
どうしたのかしら?
「わー。あの背の高い人、イケメン」
「手足長い。格好いい」
そう言われている人物の方へ視線を向け、莉愛はギョッとした。
ん?
あれは?
すると、莉愛に気づいたその人物が、近づいて来た。
うそ……。
こっちに来る。
まさか……あの人は……。
背の高いその人物の顔を確認し、莉愛は思わず、その名を叫んだ。
「大崎大地!!」
驚愕で固まる莉愛を見つめ、大崎大地が徐に頭を下げた。
「昨日は、申し訳なかった」
えっ……。
何?
どうでも良いけど、こんなに人の多い所で、頭を下げるのは止めて欲しい。莉愛は大地の腕を掴むと、人目を避けるように走り出した。