排球の女王様~私に全てを捧げなさい!



 そして……。



「「キャーー!!莉愛最高ー!!」」


 二人の声がこだました。

「「これで絶対男なんて言わせないんだから」」

 双子のように重なる二人の声。

 ん~?

 ホントかな?

 半信半疑で狼栄にやって来ると、何だか視線がめちゃくちゃ痛い。見られてる……ものすごく見られてる。莉愛は艶やかなストレートの髪はそのままに、両サイドを三つ編みからハーフアップにしたお嬢様風?になっていた。理花と美奈が言うには可憐なお嬢様風なのだとか……。

 狼栄の人達の反応からして、やっぱり似合わなかったかな?

 不安に思いながら大地のいる体育館へとやって来た。ガラガラと扉を開きバレーコートに向かって挨拶をする。

「こんにちは、犬崎高等学校の姫川です」

 すると、すでに練習していた人達の目が、ボールから莉愛の方へと視線が集まった。そして、また刺さるような視線。

 うう……痛いよう。

 そう思っていると、大地が走ってくるのが見えた。大地の姿にホッと胸を撫で下ろす。

「大地、早く来すぎちゃったかな?コーチはまだ?」

 なぜか、大地は右手で口元を覆うと、スッと視線を逸らしてきた。

 どうしたんだろう?

 莉愛は逸らされた視線を追いかけるように、大地の顔を覗き込もうとした所で、大地にそれを止められた。

「莉愛ごめん、今まともに莉愛の顔見れない」

 どういうこと?

 似合わないことして、気持ち悪かった?

「ごめん大地、気持ち悪かったよね……」

「いや違う」

 そう言って右手を大地に掴まれた。

「可愛すぎ」


 かっ……可愛すぎって。

 大地の言葉に、胸がキュンとしてしまう。

 何これ、恥ずかしすぎる。




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