排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
特にバレーボールに関する人間とは、関わり合いたくない。しかし、目の前の男子生徒は、嫌な顔をする莉愛を見ても、お構いなしに話を続けてきた。
「一ヶ月だけでも良いんだ。次のマネージャーが決まるまで……。お願いしたいんだ」
拝むように両手を合わせ、目を瞑る男子生徒を莉愛は見つめた。
何故私なんかを……?
それに、今までいたマネージャーはどうしたんだろうか?
「なぜ私がマネージャーを引き受けなければいけないんですか?今までいたマネージャーはどうしたんですか?」
莉愛が冷たく言い放つと、男子生徒は困った様に眉を寄せた。
「今までいたマネージャーは、三年になって受験生だからと先月、辞めたしまったんだ」
はぁ?
何を言っているんだ、この人は……、莉愛は思わず溜め息を付いた。
「はぁー。今、あなたが話している私も三年生で、受験生なんですが?」
「……それは分かっているんだけど」
「分かっているなら一年生か、二年生に声を掛けたら良いのでは?」
冷たい言い方だと思うが、これは本当の事だ。
「そうなんだけど……声は掛けたんだよ。でも、ダメだったんだ」
「だからって、どうして私なんですか?」
「だって、背が高いし経験者かなって思って」
だからって……。
「なぜ、経験者だと?バスケ部だったかもしれないでしょう?」
「……うーん。それは……勘かな?」
勘……。
「とにかく、ちょっと来てくれるかな?」