排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
*::*
「そう言えば、みんなの目標を聞いてなかったんだけど、みんなの目標って何?」
部員達全員がキョトンとした顔で、莉愛の方を見つめてきた。
「うーん?」
「やっぱり、目指せ春高バレーじゃん?」
「まあ、そうだよなー」
何だろう、この感じ……。
はぁーー。と、莉愛は大きな溜め息を付いた。
「みんな、ちょっと聞いて!そんな曖昧な目標じゃ気合いも入らないよ。あと、大会で使う横断幕探してみたら、ボロボロで使えそうにないの。今までのは『精神一到』だったんだけど……今の私達には合っていないような気がするのよね。どうせ作り直すなら変える?」
「んー」
「どうする?」
「あー横断幕?」
首を捻る部員達。
狼栄との練習試合が終わり、自信が付いたのは良いが、最近の部員達はだらだらと練習しているだけのように見える。このままではいけない、気を引き締めなければ……。
莉愛は持っていたボールを、体育館の床に叩き付けた。するとボールは天井へと高く上がり、ゆっくりと落ちてくる。時間にして数秒の事だったが、部員達はボールをゆっくりと目で追った。天井からゆっくりと落ちてきたボールは、莉愛の手の中に吸い込まれるように収まった。
「ねぇ、みんな分かってる?私はコーチとして教えるのが好きなわけじゃないんだよ。私は勝利という言葉が好きで、勝利が欲しいの。私に勝利を捧げなさい!」
莉愛の言葉に、部員達の背筋がゾクゾクとした。
「姫川に勝利を捧げるぞ!!」
大地のかけ声に、部員達全員の声が重なった。
「「「「「おーー!!」」」」」