排球の女王様~私に全てを捧げなさい!

 *

 それから決まった横断幕の言葉は『捧げよ』だった。

「ねぇ?これ大丈夫かな?」

「いいんじゃん、これで。みんなこれで納得してるんだしさ」

 サラッと言ってきたのは瑞樹だった。

「そうかな?どこぞのアニメみたい……」

「姫川それ以上言うな……それは俺達も思ってた所だ」

 拓真が莉愛の言おうとした言葉をさえぎった。

「いいじゃん。格好いいよな?」

 瑞樹がにゃははッと笑った。流星も笑いながらもっとらしいことを言ってきた。

「全てを捧げてバレーにうちこむ?みたいな感じで取られるんじゃないかな?」

 それなら良いけど……。

 ちょっと心配になってしまう。

 心配する莉愛およそに、拓真が嬉しそうに笑った。

「あの時の姫川、格好良かったよな。『私に勝利を捧げなさい』ってさ。女王様みたいでさ」

「あっ、分かる。俺も思った」

「俺も、俺も」

 じょっ……女王様って何よ。みんなの冷やかしとも取れる言葉に、莉愛は恥ずかしくなってしまう。

「だって、みんながだらけているのが悪いんだよ。ほら、もう練習開始!」

「「「うっす!」」」



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