排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
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合宿も残り1日となった頃、予想もしていなかた人物がやって来た。
「おー。みんな、やってるな」
体育館の扉の前で、立っている人物に、皆の視線が釘付けとなった。
「お兄ちゃん!」
「莉愛ー。元気だったか?」
嬉しそうに手を振る翔に向かって、莉愛は掛けだし、その胸に飛び込んだ。先日あんな事を言っていたが、莉愛は兄が大好きだった。なんだかんだで練習に付き合うし、兄の注文にも応えていた。二人は仲の良い兄妹なのだ。
「本物の姫川翔!」
「すっげー、本物」
ザワつく体育館の奥から、群大のコーチがやって来た。
「姫川、久しぶりだな。活躍は聞いているぞ。頑張っているな」
「コーチお久しぶりです。頑張ってはいるんですが、世界は広いっすね。俺なんて、まだまだです」
「今日はどうしたんだ?」
「可愛い妹に会いたくて、休みもらって来ちゃいました」
そう言って翔は莉愛の頭を優しく撫でた。莉愛も嬉しそうに笑ってみせる。