排球の女王様~私に全てを捧げなさい!


「くーっ。この顔だよ。この顔……可愛すぎるだろ」

 翔が莉愛を抱きしめると、莉愛は意味が分からないとばかりに首を傾げた。

 お兄ちゃんは何を言っているんだろう?

 そこに高橋がやって来た。

「翔さん、ありがとうございます……もう、あの約束のために来てくれたんですか?」

 約束?

「まあ、そんなところ……。まだお礼言ってなかったな。高橋、莉愛とこいつらのことホント助かった。ありがとうな」

「いや、全然。こっちこそ助かります。ありがとうございます」

 お礼を言い合う二人に、莉愛は首を傾げた。

 約束って何?

「お兄ちゃん、高橋さんと何か約束したの?」

「ん?ああ、群大の練習見てやるから、お前達犬崎の練習に付き合ってくれって頼んだんだ」

 お兄ちゃん……。

 何だか胸の奥が熱くなった。

 なんだか、感動……。

「お兄ちゃん、ありがとう」

「おうよ!」

 ガッツポーズするお兄ちゃんが頼もしく見えた。



 見えた、はずだったのに……。
 



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