排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
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「どうした、何をへばっている。死ぬ気で食らいつけ」
翔がスパイクを打ち込み、犬崎の部員達が次々にレシーブを返していく。
「随分触れるようになってきたじゃないか」
「「「うっす!」」」
「最後に練習試合するぞ。犬崎と群大ごちゃ混ぜでやってみるから」
犬崎対群馬国際大ではなく、大学生に混ざってやるの?
ノートを取りながら莉愛は顔を上げた。
「じゃあ、チーム作ってみて」
大学生の方が人数が多いけど、5チームは作れるかな?
「こっち一人足りないんですけど」
「あー。それなら莉愛そっち入って」
「えっ、私で良いの?」
「練習試合なんだから良いだろう?」
うそ、嬉しい。
皆が楽しそうにバレーしている姿を見て、ウズウズしてたの、お兄ちゃんにはバレてたかな?チラリと翔の方へと視線を向ける。すると翔がウインクをしてきた。
お兄ちゃんにはバレバレね。
「よろしくお願いします」
莉愛が遠慮がちに挨拶をすると、高橋が嬉しそうに手を上げた。
「姫ちゃんとバレーが出来るなんて光栄だよ。よろしくね」
それから3セットマッチの試合が始まった。
「充、どうした。ミドルブロッカーなら手をだせ、手を出さなければ、ブロックは出来ないぞ」
「流星バネ使え、手を伸ばして叩き付けろ」
二面あるコートの外から適切なアドバイスが飛び交う。
向こうは大丈夫そうね。それならと、莉愛は目の前のボールに集中した。
「姫ちゃん、一発目来るよ」
「はい!」
反対のコートから島谷がジャンプサーブをするのが見える。この数日でサーブが一段とうまくなった。それは莉愛への重い愛?のせいであるのだが、それに莉愛はいまいち気づいていない。
わー。綺麗にボールが上がるようになったなー。それに姿勢もすごく良くなった。関心する莉愛の横をボールが通り過ぎ、それをリベロが上げた、それを高橋がトスして上げてくれる。
「姫ちゃん!」
その声に合わせて莉愛が後ろから走り出し、バックアタックの姿勢に入る。莉愛の空中姿勢は美しい、まるで止まっているかのように見える。その美しさに見惚れているうちに、ボールは床に沈んでいた。
「すっげー」
「見たか今の?止まっているように見えたな」
「空中であんな風に姿勢保てるもんなのか?」
「それに威力もコースもえげつな!」
楽しそうにバレーをする莉愛を見ていた翔が、嬉しそうに笑った。