排球の女王様~私に全てを捧げなさい!

 *::*

「「「ありがとうございました!!」」」

 充実した合宿生活が終わりを告げた。体育館で頭を下げる犬崎バレ部員達。

「よく頑張ったな。春高予選頑張れよ」

そう言ったのは翔だった。満足そうに笑顔を見せながら、莉愛の頭を撫でた。そんな兄を莉愛は嫌がる様子も無く微笑む。そんな二人の姿に、皆が溜め息を付いた。

「美形二人が笑うと絵になるな」

「うん。なんか、見てはいけない物を見ている感じがするのは俺だけ?」

「BL的な?」

 そんな雰囲気の中、一人だけ騒いでいる人物がいた。

「莉愛ちゃん、俺も連れて行って、一緒に行く」

 泣きながら莉愛に抱きつこうとしているのは、島谷だった。

「お前は少し落ち着け」

 そんな島谷を止めているのは高橋さんだ。

「お兄ちゃん、高橋さん、群大の皆さん、無理を聞いて下さってありがとうございました。見ていて下さい、必ず春高行って見せますから!」

 莉愛がニコッと笑ってみせると、群大の皆が嬉しそうに笑って、右手の拳を前に突き出してきた。

「おう、頑張れよ」

「応援してるぞ」

「絶対、春高行けよ」

 私達も右手の拳を前に突き出した。


「「「うっす!!」」」





< 64 / 129 >

この作品をシェア

pagetop